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 戦禍や大震災の被害を逃れ、昔ながらの長屋風情が今なお現存する町・墨田区京島キラキラ橘商店街。この地に、地元密着型のコミュニティシネマとして「橘館」がまもなくオープンを迎える。その開館に先駆け、橘館では、本日3月6日よりイベント上映『“映画祭”の映画祭!』が催されている(既報)。

 京成曳船駅を降りて明治通りを亀戸方向へ歩くこと10分――トタン板やビニール製の看板を掲げる商店がズラリと並ぶ路地が現れる。決して美しい景観ではないのだが、その鄙びた風情には心くすぐられるものがある。国内の映画祭でも高い評価を得た人情ドラマ『のんちゃんのり弁』(緒方明監督)のロケ地にもなった商店街だ。

 『“映画祭”の映画祭!』は、そのキラキラ橘商店街のちょうど中間にある“旧・墨東まち見世ロビー”所在地で開催。見落としそうな小さなシャッター前に、受付窓口のテーブルが置かれ、初日の上映作品『ライブテープ』のポスターが掲げられていた。ゲストとして来場した松江哲明監督も、「す…すごい光景ですね。(『ライブテープ』の試写をやった)武蔵野公会堂にちょっと似てます」と笑いながら話していたが、白黒の布を天井に吊るしただけの即席スクリーンに、小さなプロジェクターと前方に置かれた小さなスピーカーという設備で上映が行われた。

 シャッターだけで遮られた場内では、商店街で飛び交う会話などもダダ漏れではあったが、上映終了後には「音声が聞き取りにくいというご指摘がありまして、今来場頂いた方には、本特集での別日の上映に無料でご招待させて頂きます」と、スタッフがすかさずフォロー。作中、主演の前野健太がつぶやく声など聞き取りづらい箇所は確かにあったものの、街の雑踏に溶け込む映画ゆえ、それもまた味わいとして観客の記憶に残ったのではないだろうか。

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京島南公園(通称:マンモス公園)での『ライブテープ』トーク&ライブ


 上映後は、京島南公園(通称:マンモス公園)に場所を移し、前野健太による野外ライブが行われた。ライブ前には短いトークも実施され、日常的に前野さんの歌をiPodに取り込み、街中で聞くことが多いという松江監督から、改めてその魅力が語られた。「街の中で聞くと、前野さんの歌は本当に心地いいんです。CDやライブ音源をiPodでシャッフルしてずっと聞いていたんですが、僕が見てる風景や心情にすごく寄り添ってきた。ああ、こういう感じを映画にしたい――それが『ライブテープ』なんです。録音の山本タカアキさんと一曲ごとに音質を変えて、『ライブテープ』という映画自体が一曲の歌にしたい、とは最初から話していました」

 実際『ライブテープ』は、何度観ても、何度聴いても、前野健太というミュージシャンと、吉祥寺の街並みと、音楽という魅力に溢れている。あの映画の後だからこそ、生ライブでの「天気予報」は鳥肌モノで、特に今日のライブ中に前野さんが、「ライブは映画を超えなきゃいけない」とつぶやいて、コートを脱いで立ち上がり歌った「友達じゃがまんできない」→「天気予報」→「東京の空」は素晴らしかった! 空気を引き寄せるその集中力に、降りしきる冷たい雨も忘れて聴き入ってしまった。



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 そう、野外ライブ時には冷たい雨、映画鑑賞時では聞き取りづらいスピーカーと、イベントを取り巻く環境は悪条件ではあったが、それを補って余りある貴重な体験の数々……。お金を払って映画を観る以上、快適な鑑賞環境を求めるのは当然ではあるが、「映画鑑賞」を「映画体験」と考えればどうだろう? 映画を取り巻く環境も光景も人間も何もかもが画一化されてきている今、こうした体験は忘れられない記憶となって残るはずだ。ちなみに松江監督も前野さんも商店街のお惣菜に舌鼓をうったようで、おでん(大国屋)やコッペパン(ハト屋)、レトロな店構えの喫茶店ペロケについて話していた。映画体験のお供にぜひとも試してみてほしい。


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松江さんに「うまいですよ」と聞いて、早速、大根食べました。旨し!



【“映画祭”の映画祭】
日程:3月6日(土)、7日(日)、13日(土)、14日(日)
会場:コミュニティシネマ 橘館

上映スケジュール等の詳細は下記のURLからご確認ください
http://tachibanakan.blog13.fc2.com/

キラキラ橘商店街 公式サイト(美味なるお惣菜屋さんの情報も多数!)
http://www2.ttcn.ne.jp/kirakira/



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