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My Generation

ドキュメンタリー監督・松江哲明、1977年生まれ。カメラを通じて、目の前の現実と向き合ってきた松江哲明監督が、「同世代」の才能について大いに語る! 彼にとって、同じ時代の匂いを感じるクリエイターとは、その才能とは、いったい何を指すのだろうか?
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前野健太(1979年生まれ)の1stアルバム『ロマンスカー』
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ROCD-0001/¥2100
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実は前野さんとの付き合いはそんなに長くない。初めて唄を聞いたのも一年半前。けど、その一ヶ月後には僕の映画のイベントで歌ってもらい、『デトロイト・メタル・シティ』のメイキングの挿入歌として使わせて頂き、元日に『ライブテープ』を撮り、その二週間後、前野さんの新曲『鴨川』のPVを撮った。で、今はライブを撮り続けている。作品にするかもしれないし、しないかもしれない。ただこのタイミングを記録しなきゃ、と確信している。理由はまだ分からない。
前野さんの唄の主語は、いつも僕であり私だ。『このカラダ』というタイトルの曲にもあるように彼の体から発する歌詞が唄と曲になり、観客を前にしたライブで 歌う度に変化する。僕が最初に惹かれた『天気予報』はアルバム『ロマンスカー』のクライマックスとして収録されている。この唄で前野さんは亡くなった父を想い、ケータイばっかいじってる自分に喝を入れ、愛が勇気に変わることで「生きていける」と叫ぶ。しかし彼のライブに行くとその歌詞が「生きていかなきゃね」という決意に変わり、より強い意志を感じさせるものへと成長している。僕らが作った『ライブテープ』でも警備員が見張る井の頭公園のステージで絶叫し、一年で最初に沈む夕日に対抗していた。僕はこの決意が前野さんらしいな、と思う。僕らでもなく、私たちでもなく「僕は、生きていかなきゃね」と断言する勇気。小さな声が聞こえにくい、声の大きさや多数決が優先させるこの社会で、僕はこんなたった一人の想いこそが、日常の不安を変えて来たんじゃないか、と思い出すことが出来る。前野さんの唄にはそんな勇気と愛が在るのだ。
『ライブテープ』を撮った直後のライブで前野さんは『天気予報』のサビを「生きていかなきゃね、そうだろ?」と歌ったことがある。僕は「あれ、最高だった」と 伝えたが、彼は「んなことないです。もうやらないです」と言ったっきり、二度と観客に対する問いかけをすることはなかった。
そんなゆっくりな姿勢も前野さんらしいな、と思う。

Profile: 松江哲明(まつえ・てつあき)

1977年東京都出身。
99年、日本映画学校の卒業制作として監督した『あんにょんキムチ』が、山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波特別賞、NETPAC特別賞、平成 12年度文化庁優秀映画賞などを受賞。以降、OV『ほんとにあった! 呪いのビデオ』シリーズ、『カレーライスの女たち』『セキ★ララ』『童貞。をプロデュース』など刺激的な作品 を次々と発表。09年公開された『あんにょん由美香』が、第64回毎日映画コンクール(1月19日発表)にてドキュメンタリー映画賞、映画芸術ベスト4位に選出。東京国際映画祭2009にて 「日本映画・ある視点部門」作品賞を受賞した最新作『ライブテープ』は、池袋シネマ・ロサ、シアターN渋谷ほかにて全国順次公開中。

公式Blog
http://d.hatena.ne.jp/matsue/
 


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