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My Generation

ドキュメンタリー監督・松江哲明、1977年生まれ。カメラを通じて、目の前の現実と向き合ってきた松江哲明監督が、「同世代」の才能について大いに語る! 彼にとって、同じ時代の匂いを感じるクリエイターとは、その才能とは、いったい何を指すのだろうか?
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#07大根仁
大根仁
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現在OA中の深夜ドラマ『モテキ』を手がける大根仁(1968年生まれ)監督。同ドラマの主題歌でもあるフジファブリックの新曲「夜明けのBEAT」のビデオクリップも担当。
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※7月16日よりテレビ東京系列にてOA中のドラマ『モテキ』
http://www.tv-tokyo.co.jp/moteki/
大根監督の作品にはじめて出会ったのはフジテレビで放送されていた『劇団演技者。激情』。「オリジナルを尊重することを恐れていない」演出に驚かされた。作り手の色をあえて出さないという覚悟が凄いな、と。ポツドールの三浦大輔氏が書いた性と苛立ちに満ちたオリジナルの物語は強烈だったが、そんな作品に対し、リスペクトを隠さない。まるで「だって『激情』って最高じゃん」と宣言しているかのように。「らしさ」があるとすればV6のイケメンと真木よう子と NUMBER GIRLを足すというリミックス。まるで演出家のマイフォルダを見せられているような感覚。森田剛を目当てに観た少女は、彼が「父親の首つり死体を目撃する」シーンに流れたNAM AMI DA BUTZの轟音が脳にこびり付いてしまったに違いない。知らないもの、聞いたことがないものを体験させることは「教育」だと思う。そういう意味で大根監督は教育者なんだと思う。
そんな原作リスペクト作品としては昨年放送された『湯けむりスナイパー』がある。原作の「元殺し屋が寂れた温泉宿で働くことで、日常の些細な出来事に深く感動してしまう」という設定を、世界に誇るべき声と顔面を持つ遠藤憲一が主演することで、成立させてしまった。しかし、原作がアレレな場合は思いっきり改変する。『アキハバラ@DEEP』は監督自身も「原作がちょっとアレだったから…」と語る作品だが、僕は読んでいないので、どう変わっているのかが分からない。しかし、ドラマ版を観る限りでは原作はめちゃくちゃ面白そうだ。僕はDVDを見終えて本屋に行きたくなった。そういう意味では大根監督はプロデューサーでもあると思う。
現在、放送中の『モテキ』は原作へのリスペクトと映像ならではのアプローチが入り交じった作品になりそうだ。人気漫画化作品ではどんなキャスティングになろうとも、ファンは「違うもん」と口を挟むものだが、野波真帆、満島ひかり、松本莉緒、菊池凛子という並びに大根監督の主張を感じる。攻めてるな、と思った。『二十世紀少年』は漫画とそっくりさんな俳優を集め、メイクすることに熱心だったが、本作は違う。役を生きれる女優を並べてしまった。似てる、似てないを超えた漫画の映像化は、原作が好きだからこそワクワクする。実際に放送を見たら、キャスティングだけでなく映像ならではの変換が最高だった。特に第二話では原作で描かれた食い倒れの旅を、ドラマでは『打ち上げ花火下から見るか?横から見るか?』を追う旅にアレンジし、なんと撮影編集までも見事に完コピ。かつて奥菜恵に撃沈させられた僕はテレビの前でひたすら悶絶した。そして『打ち上げ花火』を見ずに、『モテキ』と出会ったであろう若い視聴者がうらやましくなった。テレビというマスなメディアと深夜というコアな時間帯。そんな場だからこそ可能な教育とプロデュースとリミックス。「深夜ドラマとはこうあるべき」と宣言する大根監督は「番長」の称号にふさわしいと思う。

Profile: 松江哲明(まつえ・てつあき)

1977年東京都出身。
99年、日本映画学校の卒業制作として監督した『あんにょんキムチ』が、山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波特別賞、NETPAC特別賞、平成12年度文化庁優秀映画賞などを受賞。以降、OV『ほんとにあった! 呪いのビデオ』シリーズ、『カレーライスの女たち』『セキ★ララ』『童貞。をプロデュース』『あんにょん由美香』など刺激的な作品を次々と発表。東京国際映画祭2009にて「日本映画・ある視点部門」作品賞を受賞した『ライブテープ』が、ドイツ、NY、トロント、パリなど海外映画祭を巡回中。9月2日(木)に、自身の10年間のドキュメンタリーについてまとめた著作「セルフ・ドキュメンタリー」(河出書房新社)を刊行予定。同2日(木)にはロフトプラスワンにて刊行イベント、9月4日(土)よりポレポレ東中野にて、その刊行記念特集上映も行われる。その他のイベントや詳細は下記ブログを参照。

公式Blog
http://d.hatena.ne.jp/matsue/
 

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