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My Generation

ドキュメンタリー監督・松江哲明、1977年生まれ。カメラを通じて、目の前の現実と向き合ってきた松江哲明監督が、「同世代」の才能について大いに語る! 彼にとって、同じ時代の匂いを感じるクリエイターとは、その才能とは、いったい何を指すのだろうか?
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#08 岡宗秀吾
DVD『とにかく金がないTVとYOU』
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岡宗秀吾(1973年生まれ)がディレクターを務める『とにかく金がないTV』
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DVD『とにかく金がないTVとYOU』発売中(BMG JAPAN/¥2990)
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※『とにかく金がないTV(お金でおっぱいを見せる女性は何人いるか・編)』のスクリーン上映が決定
http://www.mmjp.or.jp/pole2/matsue-sp.html
僕がここ数年で最も爆笑し、まさに面白いとか言いようがない作品がある。それが『とにかく金がないTV』。BSジャパンで放送され、テレビ東京の深夜にこっそりと再放送、DVDでも発売された「とにかく」笑えるテレビ番組。
僕はこの番組を人づてに聞いた。「『童貞。をプロデュース』にそっくりなテレビをやってたよ」と言われ、その内容を聞くと「童貞の構成作家が世の中にお金でおっぱいを見せる女性が何人いるかを調べる内に、風俗穣に恋をする」というもの。で、実際に番組を見るとそっくりどころでない「まんま」度に心底驚かされた。中でも番組で童貞作家がAV女優の夏目ナナに言われる言葉と、僕が撮影したカンパニー松尾さんの言葉の共通点にハッとなった。性の達人たちは人と関わることの大切さを童貞に説いていたから。『童貞。』の公開時期と『金がないTV』の放送時期はほぼ一緒。「偶然ってあるんですね」とディレクターを担当した岡宗さんと笑い合ったら、誕生日まで同じだった。
『金がないTV』で「人間が嫌いでしょ」と夏目ナナが微笑み、『童貞。』のクライマックスで「迷惑ってのはかけるものだから」と松尾さんが言い切った瞬間、童貞たちは呆然と立ちすくんでいた。僕はそんな状況を自分に言われているような気持ちで撮影していたが、岡宗さんも同じだったと思う。なぜならその後、番組は童貞作家が風俗嬢に告白をするという素敵な展開になるのだから。実は僕も『童貞。』のクライマックスに告白を選んだ。童貞を撮るということは、己の過去と向き合い、一歩を進む決意を確認するという、つまり青春を撮るということなんだと思う。
『金がないTV』は金がないことを逆手に、作り手がやりたいことを炸裂させている。普段はゴールデンのバラエティ番組を手がける岡宗さんがアクセルを全開にした結果、「こんばんは森進一です」と最初に言ったというモノマネ師たちが何人も勢揃いすることになり、松野明美は「チ◯ポ」と連呼し、荒れると評判の沖縄の成人式では酔っぱらったヤンキーが「俺、シルベスター・スタローン」と意味不明の台詞をキャメラに向かって吐き出す。そんなVTRを近所の中華屋で見せられるYOUは酸欠寸前の表情で腹を抱えている。
僕は『元気が出るテレビ』『ASAYAN』『電波少年』の頃がテレビが一番面白かったと思っていた。『水曜どうでしょう』は大好きだったけど、ケーブルテレビのあるアパートから越してしまってからは見れなかった。だけど『金がないTV』と出会ってからは「テレビはつまらない」なんて言えない。映画だろうがテレビだろうが、作品を面白くするのは作り手次第なんだ、ということを教えてくれたから。


Profile: 松江哲明(まつえ・てつあき)

1977年東京都出身。
99年、日本映画学校の卒業制作として監督した『あんにょんキムチ』が、山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波特別賞、NETPAC特別賞、平成 12年度文化庁優秀映画賞などを受賞。以降、OV『ほんとにあった! 呪いのビデオ』シリーズ、『カレーライスの女たち』『セキ★ララ』『童貞。をプロデュース』『あんにょん由美香』など刺激的な作品を次々と発表。東京国際映画祭2009にて「日本映画・ある視点部門」作品賞を受賞した『ライブテープ』が、ドイツ、NY、トロント、パリなど海外映画祭を巡回中。9月2日(木)に、自身の10年間のドキュメンタリーについてまとめた著作「セルフ・ドキュメンタリー」(河出書房新社)を刊行予定。同2日(木)にはロフトプラスワンにて刊行イベント、9月4日(土)〜10日(金)池袋シネマ・ロサ、9月11日(土)〜17日(金)ポレポレ東中野にて、その刊行記念特集上映も行われる。その他のイベントや詳細は下記ブログを参照。

公式Blog
http://d.hatena.ne.jp/matsue/
 

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