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スペーサーfilmfestival
TOP > セカイノ映画祭カラコンニチワ
タイトル
毎日、世界のどこかで行われている映画祭。日本で広く報道されるのはカンヌ、ベルリン、ヴェネチアの世界三大映画祭ぐらいだが、邦画は昨今のジャパニーズ・ポップカルチャー・ブームの影響もあり、世界の意外な場所で熱狂的な歓迎をもって受け入れられているのだ。そんな現地の様子を、参加者自らレポートしてもらおう。
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取材・文/中山治美
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 http://www.raindance.co.uk/site/independent-film-festival-2009
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 ロンドンの中心地ピカデリー・サーカス近くのアポロ劇場をメーン会場に開催される、英国最大級のインディペンデント映画祭。インディペンデントの映画作家をサポートするために、映画作家たちが創設した団体「レインダンス」によって93年にスタート。05年からは国際交流基金のサポートを受けて、日本の最新映画を紹介する部門「Way Out East」を設け、欧州に新鋭監督を紹介する重要な拠点となっている。第13回では、塩田明彦監督『カナリア』がグランプリを受賞している。米国のサンダンスに対抗するかのように、映画人育成の学校も運営している。安藤モモ子監督も英国時代に一度、入学を検討したそうだが「英国人の授業料と違い、外国人はかなり高額だったので断念した」そうである。 ph02


〈安藤モモ子監督が語るレインダンス映画祭〉
「ロンドンに自分の作品を持って戻れることが大きかった」

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『ロックアウト』の高橋康進監督、『フツーの仕事がしたい』の土屋トカチ監督と
 第17回レインダンス映画祭で初監督作『カケラ』のワールドプレミア上映を行った安藤モモ子監督。これは、安藤監督が8年間を同地で過ごし、初監督作でロンドンに凱旋したいという意向を受けての”戦略”だったという。同作品の海外セールスと国内配給を担当するピクチャーズデプトの汐巻裕子によると、旧知だったレインダンス映画祭のプログラマーとミーティングをしたのは、09年5月に行われたカンヌ国際映画祭の時。作品を観た担当者は即決で、映画祭招待を決定してくれたという。

 安藤監督は「23歳で帰国して以来、何かを自分で成し遂げていないうちはロンドンには帰りたくないと思っていた。だから、こうして自分の作品を持って戻れることが、どれだけ私の中で大きかったことか」と感慨深げに話す。

 ご存知、安藤監督の父は俳優&映画監督の奥田瑛二。母親はエッセイストの安藤和津だ。幼い頃から、何かにつけて両親の名前が付いて回ることに息苦しさを感じた安藤監督は、自分の存在価値を見出すためにわずか15歳で英国へ。ロンドン大学芸術学部時代はアートを学んだ。しかし、蛙の子は蛙。父親が映画を作ることになり、製作スタッフとして参加すると映画作りに目覚め、ニューヨーク大学の監督コースへ留学。また、父親がヴェネチアやモントリオールなどの海外の映画祭に参加した際には、通訳謙国際配給担当として堂々と渡り合った。映画祭の魅力について安藤監督は「大作でも低予算映画でも、同じ目線で判断してくれるところがいいですよね。今回は日本人である私が撮った映画が、他国の作品と並んだ時にどんな評価を受けるのか? そこに興味がありました」と言う。

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ドキュメンタリー部門最優秀賞に輝いた土屋トカチ監督。安藤モモ子監督がプレゼンターも務めた
 
 現地では“日本のソフィア・コッポラ”と紹介された前評判の高さも手伝って、ワールドプレミアのチケットはソールドアウト。上映には、大学時代の友人たちも多数駆け付けてくれたという。その中には、『百合祭』で参加していた浜野佐知監督の姿もあった。同映画祭ではこの年、日本の女性監督にスポットを当てており、安藤監督や浜野監督が招待されたのだ。「上映後に浜野監督から『映画を見て、日本にも女性を表現できる女性監督が出てきたんだと思った。私はもう引退してもいいかなと思ったの』とまでおっしゃって頂いて(苦笑)。いやいや、そんな・・・と恐縮しましたけど、嬉しかったです」と安藤監督。国内ではなかなか話す機会のないベテラン監督とのこうした交流も、海外映画祭の魅力の一つだ。

 さて今回、安藤監督には大役がもう一つあった。安藤監督の特殊な経歴と語学力に目を付けた映画祭側が、特別審査員を依頼したのだ。12人の審査員の中には、米歌手トム・ウェイツも! 安藤監督は「私、まだ一本しか撮ってないのに・・・と思ったんですけど、トム・ウェイツの名前に惹かれてOKしちゃいました。でも実際は、審査員それぞれで分担して作品を観賞し、結果は投票制だったので、トムと話も出来なかったんですよ」と思惑は外れてしまったらしいが。

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 安藤監督が審査を担当したのは、ドキュメンタリー部門。最優秀に選んだのが、土屋トカチ監督『フツーの仕事がしたい』だった。安藤監督は「8作品を、それぞれ2回ずつ観賞しました。もう一度見たい作品かどうか、その時点である程度決まっていたけど(苦笑)、土屋監督の作品が圧倒的でした。どこまでカメラが被写体に踏み込んでいくんだ!と思ったほど。その熱意がすべて映像に写りこんでいた」と評する。

 映画祭自体は昨今の世界不況の影響を受けて予算が削られているようで、審査員も務めた安藤監督にあてがわれた宿泊も「B&B(ベッド&ブレックファスト)クラス(苦笑)」だったという。それでも同映画祭で『カケラ』を観賞した英国の映画会社「サード・ウィンドウ・フィルムズ」のアダム・トレルの眼鏡にかない、異例の日英同時公開が実現するなどまさに”プライスレス”な出会いが多々あったという。今後はドイツ・フランクフルトで開催される「ニッポン・コネクション」などへの参加が決まっている。

  安藤モモ子監督作『カケラ』

4月3日(土)から東京・渋谷ユーロスペースにて。順次全国公開。

公式サイト:http://love-kakera.jp/
安藤モモ子監督作『カケラ』

桜沢エリカのコミック「ラブ・ヴァイヴス」を原作に安藤監督自身が脚本を執筆し、また新たな世界を構築したガールズ・ムービー。どこか満たされない日々を送っていた大学生ハル(満島ひかり)はある日、ちょっとミステリアスな女性リコ(中村映里子)に声を掛けられる。「好きだ」というリコの告白に戸惑いつつもハルは、ボーイフレンドとの間では得られなかった居心地の良さに浸っていくのだが…。音楽を、米のオルタナティブ・ロックを牽引してきた元「スマッシング・パンプキンズ」のジェームス・イハが担当しているのも話題。



〈第17回レインダンス映画祭出品作品&受賞結果〉
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【最優秀ドキュメンタリー賞】
『フツーの仕事がしたい』 土屋トカチ監督

【最優秀国際映画賞ノミネート】
『休暇』 門井肇監督

【最優秀新人映画賞ノミネート】
『マイム マイム』 岨手由貴子監督

【最優秀低予算映画賞ノミネート】
『LOCKED OUT(ロックアウト)』 高橋康進監督

【その他の上映作品】
『俺たちに明日はないッス』 タナダユキ監督
『火垂』 河瀬直美監督
『インスタント沼』 三木聡監督
『ララピポ』 宮野雅之監督
『百合祭』 浜野佐知監督
『愛のむきだし』 園子温監督
『桃まつり』 (「emerger」佐野有紀監督、「月夜のバニー」矢部真弓監督、「クシコスポスト」別府裕美子監督)
『カケラ』 安藤モモ子監督

〈第18回レインダンス国際映画祭開催予定〉
2010年9月29日〜10月10日
応募締め切り:2010年5月7日
詳細は下記サイトにて

http://www.raindance.co.uk/site/festival-submissions-2010

《次回予告》
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ロッテルダム国際映画祭(オランダ)
 






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