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セカイノ映画祭カラコンニチワ
毎日、世界のどこかで行われている映画祭。日本で広く報道されるのはカンヌ、ベルリン、ヴェネチアの世界三大映画祭ぐらいだが、邦画は昨今のジャパニーズ・ポップカルチャー・ブームの影響もあり、世界の意外な場所で熱狂的な歓迎をもって受け入れられているのだ。そんな現地の様子を、参加者自らレポートしてもらおう。
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取材・文/中山治美
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 http://www.mexicofilmfestival.com/
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 メキシコ・米国の国境近くにあるリゾート地ロザリオ・ビーチで、2007年からスタートしたインディペンデント映画祭。新しい才能の発掘と、メキシコに世界各国の優れた作品を紹介するショーケースとしての役割を目的としている。長編・短篇・ドキュメンタリー作品だけでなく、学生映画、ミュージック・ビデオ、脚本と間口が広いのも特徴だ。また、ラテンのリゾート地という場所柄、映画祭の公式HPにご丁寧にナイトライフの紹介があるように、酒で異文化交流を盛り上げようとするお祭り的な要素が強そうだ。若いスタッフが中心とあってこれからどのように成長していくか観察が必要だが、うぶな海外映画祭初心者も陽気に受け入れる度量がありそうだ。


〈鯨エマ監督が語るメキシコ国際映画祭〉
「素人同然の手探り作業で作った作品が、国際映画祭で評価された事は嬉しかった」

 
映画祭の会場となるロザリオ・ビーチ・ホテル
 実は、鯨エマ監督のドキュメンタリー『つぶより花舞台』は、2009年の同映画祭ドキュメンタリー部門の参加作品だった。しかし昨年のメキシコから端を発した新型インフルエンザ騒動で映画祭は中止に。だが審査員によって受賞結果のみが発表され、昨年のグランプリ作品の上映と授賞式を、本年度にまとめて行うことになった。ドキュメンタリー部門銅賞に選ばれた鯨監督は、一年越しで記念の賞状を受け取るためメキシコへ飛んだ。

 
リゾート地のホテルなので部屋は広々として快適


ホテルの前のビーチ
「いずれにしても昨年は、(主宰する劇団)かんじゅく座の舞台公演が佳境で、参加出来なかったんです。なので、今年は絶対に行くぞ!と」。

 しかし今年も舞台公演の合間というかなりの強行軍で、メキシコ行きのフライト日程と合わず、米国・サンディエゴの方に飛ぶことに。そこから徒歩で国境を越えてメキシコ入り。群がる客引きを追い払いながら、乗り合いタクシーを捕まえて揺られること約1時間。ようやく上映会場に到着した。


 「ギリギリ授賞式に間に合うという珍道中でした」

 鯨監督は女優、舞台の劇作家&演出家として活躍しており、自主映画製作は大平洋戦争の傷跡である、南洋群島帰還者の慰霊祭を追ったドキュメンタリー『マンゴと黒砂糖〜今年もふるさとに帰る南洋群島帰還者たち〜』(04)に続いて2作目だ。

「でも映画は舞台と異なり、完成して上映されるまでが大変なんですよね」

 
授賞式で銅賞の賞状を受け取る鯨エマ監督
 そこで他の自主映画監督たち同様、日本公開への足がかりとなることを期待して海外映画祭への出品を目指した。字幕は英語が堪能な、映画出演者でもある「かんじゅく座」座員に協力してもらった。しかしエントリー料+送料を考慮すると、闇雲に申請することは出来ない。そこで鯨監督は、ユニジャパンのHPに掲載されている海外映画祭情報を参考に、行って見たい国で開催されている映画祭に絞った。欧州、カナダ、エジプトetc・・・。その中で唯一返事が来たのが、メキシコだった。


09年に同映画祭で外国語映画賞を受賞した『銀杏の樹の下で』の島田英二監督も今年の授賞式に参加
 
 参加条件は決して良くない。渡航費は自腹。宿泊は、高級ホテルに3割引きで泊まれるとはいえ、これも自腹。賞状は貰えるが、2枚以上欲しければ1枚50ドル。さらにトロフィー希望者には、1体100ドルの実費が請求される。予算のない映画祭とはいえ、これでは参加者が支払う一方だ。

「そうなんですよね(苦笑)。上映会場もこじんまりした感じのところでしたし。でも『つぶより〜』はスタッフのアドバイスを得ながら、素人同然の手探り作業で自主制作した作品なので、こうして評価されただけでも嬉しい。それに映画祭に出品して上映されれば、他の作品を観に来た人が、ついでに観てくれる可能性がありますから」

 
残念ながら映画祭オリジナルバッグはないので、自分でメキシコらしいバッグを土産で購入
 授賞式のスピーチで鯨監督は、自分の思いを知人に訳してもらったスペイン語で客席に語りかけて拍手喝采を浴びた。日本語の内容は次の通り。

「この場に皆さんと一緒にいられることを大変喜んでいます。この映画で二つのメッセージを伝えたいと思いました。第一に演劇がどんなに素晴らしいものか。そして二番目に、年を重ねることがいかに素晴らしいか、です。映画の中で私の役者さんたちが見せてくれたように」

 メキシコの滞在は短かったが銅賞受賞という勲章をバネに、鯨監督は今後も映画と演劇の世界をボーダレスで活動していきたいという。


 

DVD発売中
http://kujira-enter.sakura.ne.jp/kanjukuthemovie/
『つぶより花舞台』

鯨監督が「小劇場演劇を若者だけでなく、もっと幅広い人に楽しんで欲しい」と2007年に旗揚げされたシニアのアマチュア劇団「かんじゅく座」の劇団員たちが、7ヶ月後の初舞台を目指すまでを追ったドキュメンタリー。認知症予防に、子供の頃の夢を叶えるために、老後の新たな挑戦にと、様々な理由で参加した14人の男女が、鯨監督の容赦ない指導を乗り越えてステージで弾ける姿は清々しい。まさに演劇版『ヤング@ハート』。

〈第4回メキシコ国際映画祭出品作〉
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2010年5月22日〜23日開催

【長編コンペティション部門】
●銅賞受賞
『ロックアウト』高橋康進監督

〈第5回メキシコ国際映画祭開催予定〉
2010年5月27日〜29日
早期エントリー締め切り:2010年8月10日
最終エントリー締め切り:2011年3月15日
※エントリー料金の早割り有り


《次回予告》
Case.8
ダーバン国際映画祭(南アフリカ共和国)
 


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