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セカイノ映画祭カラコンニチワ
毎日、世界のどこかで行われている映画祭。日本で広く報道されるのはカンヌ、ベルリン、ヴェネチアの世界三大映画祭ぐらいだが、邦画は昨今のジャパニーズ・ポップカルチャー・ブームの影響もあり、世界の意外な場所で熱狂的な歓迎をもって受け入れられているのだ。そんな現地の様子を、参加者自らレポートしてもらおう。
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取材・文/中山治美
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  http://www.hkiff.org.hk

FILMARTが行われているconvention and exhibition centreからの景色
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 1977年にスタートした、アジアの中で最も歴史ある国際映画祭。1997年の香港返還という大きな歴史の流れに遭遇し、その後の香港映画界の斜陽もあって、一時期、映画祭自体も元気のない時代があった。しかし、その97年からスタートした映像・コンテンツ関連の展示会「フィルマート」や、2007年にはアジアの映画監督を対象としたアジア・フィルム・ファイナンシング・フォーラム(HAF)共同製作企画マーケットや、その年のアジア映画の優秀作&人を選ぶアジアン・フィルム・アワードなど関連イベントが着実に根付いてきており、釜山に並んで世界にアジア映画を発進する重要な拠点へと成長している。

convention and exhibition centre内


〈女優・プロデューサーの杉野希妃が語る香港国際映画祭〉
「勉強と反面教師と・・・
 世界と繋がることで自分が作るべき映画も感化されていく」

 
香港映画祭エグゼクティブ・ディレクターのロジャー・ガルシア。※写真左は杉野希妃
 弱冠27歳ながら女優だけでなく、プロデューサーとして頭角を現している杉野希妃。香港国際映画祭にも、2つの役目を背負って参加した。その1つが、主演&プロデューサー作『歓待』がグローバル・ビジョン部門に招待上映されたため、ゲストとして上映を見届けるためだ。





「歓待」の上映前、並んでいた人が劇場に入って行く様子


FILMART内のジャパンブース
 
「昨年の釜山国際映画祭で、香港国際映画祭のエグゼクティブ・ディレクターであるロジャー・ガルシアさんにお会いした時、『歓待』のDVDを渡しておいたんです。実は、香港には私がプロデュースした別作品を応募していたんですけど、映画祭側から『歓待』の方を上映したいという要望がありまして(苦笑)。やはり、東京国際映画祭ある視点部門で作品賞を、続いてロッテルダム国際映画祭でインターナショナルプレミアを行ったという相乗効果は大きいですね。『歓待』は70カ所以上の映画祭からオファーを頂き、トルコ・イスタンブール国際映画祭、サンフランシスコ国際映画祭、ニューヨークのニュー・ディレクターズ/ニュー・フィルム映画祭などへの参加が決まっているのですが、そのほとんどがロッテルダム以降に決まったもの。いずれも招待上映で映画祭側から上映料を払って頂いてます。金額は少ないですけど、出資者の皆さんに少しずつでもお返ししなければ(笑)」映画祭は、東日本大震災直後の開催とあって日本からの参加者は例年よりも少なかったようだ。しかし香港スペース・ミュージアム・レクチャー・ホール(193席)と香港サイエンス・ミュージアム・レクチャー・ホール(295席)行われた2回の上映は、いずれもほぼ満席となった。

 
HAF(企画マーケット)の様子
「香港の配給会社など何社か興味を示してくれました。ただ(杉野主演&プロデュースの)『マジック&ロス』(リム・カーワイ監督)の撮影を担当したメイキン・フォン・ビンファイが観に来てくれたのですが、『歓待』はオリジナルが日本語で、字幕は英語での上映。なので両方が母国語ではないメイキンにとっては、会話劇で展開していく『歓待』の、セリフの細かい部分を理解するのは大変だったと言われてしまいました。今後、海外も視野に入れて映画を作るのであれば、その辺りを考えなければいけないなと思いましたね」


マレーシアの監督ウー・ミンジン。今回はエドモンド楊監督のプロデューサーとしてHAFにも参加。
 
 そしてもう一つの役目は、プロデューサーとして新たな才能や企画の発掘だ。杉野はアジアの監督たちを対象とした企画マーケット「アジアフィルム・ファイナンシング・フォーラム」(HAF)に趣き、5〜6人の監督とミーティングを重ねた。その中には、杉野が主演&プロデューサーを務めた短篇『避けられる事』の、エドモンド楊監督の初長編作『Impermanence』も含まれている。


 
映画祭バッグに入っていたTシャツとバッグ
「ミーティングは一人の監督と30分ずつ。その限られた時間の中でいかにプレゼンテーションをするのかがカギとなるワケですが、ベトナムの監督は素晴らしかった。打ち合わせしながら作品のイメージやキャストなどを具体的に映像で見せてくれた。私は昨年、ホー・ユーハン監督のマレーシア・日本合作映画『Women and children First』を引っさげて、プレゼンする側として同じHAFに参加したのですが、そこまで準備をしていなかった。ぜひ今後の参考にしたいと思いましたね。その一方で某監督には『日本とかかわりない作品なのに、何しに来たの!?』と言わんばかりの冷遇を受けまして・・・(苦笑)。こちらは反面教師にしたいですね」

 これまでにも杉野は、釜山国際映画祭の企画マーケット(PPP)やカンヌ国際映画祭で行われているプロデューサー・ネットワークなど国内外の映画祭に積極的に参加している。今回も、大阪アジアン映画祭と、今年初めて韓国で行われた日韓映画祭を回ってから香港入りしたパワフルさだ。


タイの監督で今年のロッテルダムでタイガーアワードを受賞した"Eternity"のSivaroj Kongsakul
 
「香港国際映画祭は、映画祭とマーケットの会場が離れており、双方の参加者が交流出来る場がなかったのは残念でした。やはり映画祭というのは出会いの場であり、そこで培った人脈が次への一歩と繋がります。なので映画祭に参加するのはもちろん、パーティーなどにもすすんで参加することをオススメしますね。その後、ノリに任せて海外のいろんな映画人と、普段は行かないカラオケにもどんどん行っちゃいますもん(笑)。でも、そうすることで自分も世界の映画人の一員だと意識を持ち、作る作品も感化されていくと思うんです」

 ワールドワイドな視点を持った若きプロデューサーの動向に、今後も注目したい。


 
(C)2010『歓待』製作委員会
『歓待』

平田オリザ主宰「劇団青年団」演出部所属・深田晃司監督の『ざくろ屋敷』(06)、『東京人間喜劇』に続く長編第3弾。東京・下町の印刷所を舞台に、平穏に暮らしていた一家が、胡散臭い男をうっかり住み込みで雇ってしまった事から思わぬ騒動に巻き込まれていくブラックコメディ。出演に山内健司、古舘寛治など個性派がズラリ。平田も芸術監督で参加。

公式サイト: http://kantai-hospitalite.com/

4月23日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか順次全国公開


〈第35回香港国際映画祭〉
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 2011年3月20日〜2011年4月5日

【ガラ・プレミア】
『豆腐小僧』杉井ギザブロー監督・河原真明監督

【アジアン・デジタル・コンペティション】
『Fit』 廣末哲万監督
『世界グッドモーニング!!』廣原暁監督

【ヒューマン・アワーズ・フォー・ドキュメンタリーズ】
●最優秀ドキュメンタリー賞
『Peace』 想田和弘監督

【20th アニバーサリー・オブ・フォルティッシモ・フィルム】
『Love Letter』(1995)岩井俊二監督

【インディ・パワー】
『ヘヴンズ・ストーリー』瀬々敬久監督
『ふゆの獣』内田伸輝監督
『新世界の夜明け』(日本・中国合作)リム・カーワイ監督

【グローバル・ビジョン】
『歓待』 深田晃司監督

【アイ・シー・イット・マイ・ウェイ】
『ミロクローゼ』 石橋義正監督

【リアリティ・バイツ】
『ANPO』(米国・日本合作) リンダ・ホーグランド監督
『アヒル、ある日いつの日にか』佐藤文郎監督

【アヴァント・ガルデ・プログラム】
『See−See−Saw』(フィリピン・日本合作) 川本直人、田中愛美、中村雄太、矢川健吾
『東京−恵比寿』西川智也監督
『渋谷−東京』 西川智也監督

【川本喜八郎 ザ・パペット・マスター】
『花折り』(1968)、『犬需戯画』(1970)、『鬼』(1972)、『旅』1973)、『詩人の生涯』(1974)、『道成寺』(1976)、『セルフポートレート』(1988)、『火宅』(1979)、『不射之射』(1988)、『いばら姫または眠り姫』(1990)、『冬の日』(2003)、『死者の書』(2005)

【渋谷実 マスター・オブ・オール・トレーズ】
『本日休診』(1952)、『現代人』(1952)、『正義派』(1957)、『悪女の季節』(1958)、『もず』(1961)、『好人好日』(1961)、『酔っぱらい天国』(1962)、『大根と人参』(1965)

※第36回香港国際映画祭は2012年 開催予定

《次回予告》
Case.15
東京フィルメックス(日本)
 


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