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セカイノ映画祭カラコンニチワ
毎日、世界のどこかで行われている映画祭。日本で広く報道されるのはカンヌ、ベルリン、ヴェネチアの世界三大映画祭ぐらいだが、邦画は昨今のジャパニーズ・ポップカルチャー・ブームの影響もあり、世界の意外な場所で熱狂的な歓迎をもって受け入れられているのだ。そんな現地の様子を、参加者自らレポートしてもらおう。
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取材・文/中山治美
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 http://www.centrepompidou.fr/horspistes2011

ポンピドゥーセンター
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 フランス・パリにある文化複合施設ポンピドゥーセンターで2006年からスタートした映像祭。タイトルの「オール・ピスト」はフランスのスキー競技で「枠にとらわれず、自由に雪山を滑走する」種目から名付けられており、その言葉とおりのユニークで革新的な30本の短・中編作品と、一つのテーマに沿ったインスタレーション作品(2011年のテーマはスポーツ)を上映。その他、アーティストによるワークショップやシンポジウムも行われている。ノン・コンペティションだが、芸術の都・パリで開催される映画祭だけに多くの刺激を受けそうだ。2011年6月4日(土)〜6月12日(日)にはこのパリでの上映作品と日本から選ばれたアーティストたちの作品を織りまぜた「オール・ピスト東京2011」が東京・渋谷のUPLINKで開催された。

オープニングの様子


〈大力拓哉監督が語るオール・ピスト2011〉

 
現地入りした出演の松田圭輔、大力拓哉と三浦崇志両監督(左から)
 フランス・パリのポンピドゥーセンター。芸術に関わるものなら誰もが憧れる、現代美術の総本山だ。2008年には吉田喜重、2010年には北野武のレトロスペクティブが行われてパリっ子たちを熱狂させたが、若手にもココで作品を上映するチャンスがある。それが映像祭「オール・ピスト」。大力拓哉監督は、三浦崇志と共同監督を務めた61分の作品『コロ石』で参加した。

「出品の手続きなどは、エージェントで共同プロデュースをしているCaRTe bLaNChe の岡本珠希さんにお任せしました。ポンピドゥーセンターの全キュレーターが審査して、その結果、僕たちの作品が選ばれたということに魅力を感じますね」


スポーツをテーマにしたインスタレーション。ボクシングの映像とリアル・ファイトを組み合わせたユニークな作品も
 
 現地には、両監督に加え、出演者の松田圭輔、作品に協力してくれた中尾広道らも渡仏した。交通費は、映画祭指定の航空会社を利用すれば半額負担で利用出来たが、スケジュールが合わず自費で。宿泊は、監督ふたり分のホテルを三日間分招待してくれたという。だが大力監督らは、映画祭の合間に新作の撮影も兼ねていたため、自分たちでアパートを借りて約3週間パリに滞在。映画祭に、撮影に、そして前作『ニコトコ島』(2008)でスイス・ロカルノ国際映画祭に参加した時に知り合った小林政広監督に会うために、同時期に開催されていたオランダ・ロッテルダム国際映画祭まで足を延ばすなど、精力的に活動した。

 
公共スペースでのループ上映の様子。マットレスでくつろぎながら鑑賞
「ロッテルダムのような映画祭とは異なり、オール・ピストはいわゆる、映画と実験映像の中間のような作品が選ばれてました。作品の長さも、60分未満の中編や短編なので、日本ではなかなか観る機会のないような作品が多かったですね。そもそも会場が現代美術館という人の集まる場所なので、映画祭目的ではない人も気軽に入って来ていた。とにかく映画祭のタイトル通り、おもしろい映像ならOK!というセレクションだと感じましたね」

 『コロ石』の上映は、ポンピドゥーセンター地下にある映画館で上映された。その、同じフロアにある広い空間にはインスタレーション作品の展示、そして5つのスクリーンを使って短編作品がループ上映されていた。それを観客は、フロアに敷かれているマットレスに座って観賞するという趣向だ。これら公共スペースでの展示・作品はいずれも無料となっている。


公共スペースに設置されたインスタレーション作品
 
「そのマットレスで、子供は遊びながら見てましたよ(笑)。でもくつろぎながら観賞出来るというのがいいですね。残念ながら、あまり他の監督たちとの交流はなかったのですが、スポーツをテーマにしたインスタレーション作品は面白かったです。サッカーの試合中の主審と副審のアップを延々と捕らえた作品。同じくサッカーを題材に、普通のテレビ中継の映像を流している隣で、それを街中で再現した映像を流していたり。ほかの上映作品では、ドイツの映像作家ジュリア・ルデリウスの『Dressage』、米国のジェームス・べニングの『Pig Iron』がオススメです」

 
「オール・ピスト東京2011」で舞台挨拶する三浦崇志と大力 拓哉(左から)
 同映画祭は今年6月に「オール・ピスト東京2011」と題して日本初上陸し、大力監督も再び『コロ石』を引っ提げて参加した。

「パリでの上映ではお客さんが声を出して笑ってくれたのですが、日本では、声を出すのを堪えているような感じがしました。パリと東京、どちらでも上映後にトークを行ったのですが、パリでは映画の内容に突っ込んだ質問がいくつもあったので…、好意的だった日本でのトークの方がやりやすかったです(笑)」

 日本でも同映画祭が定着し、世界の精鋭監督の作品がさらに身近に味わえるようになることを期待したい。


三浦崇志&大力拓哉監督作品
『コロ石

 
大阪出身の三浦崇志と大力拓哉両監督は幼なじみ。遊びの延長から映像制作をはじめ、1作目の『僕の心の中には、いつも雨が降っている』(2005)から、監督だけでなく、脚本・撮影・美術・出演なども二人で手がけるのが基本。『コロ石』は2人の5作目の作品となる。1人、川辺を歩いていた三浦(三浦崇志)が、大力(大力拓哉)と松田(松田圭輔)と出会い、3人で一緒に遊び始めるが…。大阪弁のセリフに、ゆるゆるとした世界観、そして圧倒的に美しいモノクロ映像にハマる人続出!?

公式サイト: http://dddmmm.info/


〈オール・ピスト2011〉
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 2010年1月21日〜2月6日
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 『コロ石』三浦崇志&大力拓哉監督
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〈オール・ピスト2012開催予定〉
 2012年1月27日〜2月12日



《次回予告》
Case.18
テルアビブLGBT国際映画祭(イスラエル)
 


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